商品写真撮影に役立つ(ことがあるかもしれない)フィルターのはなし…その2「PLフィルター」

フィルターのはなし、その2は、「PLフィルター」(Polarized Light/ポラライズドライト/偏光)です。


本論に入る前に。


「PLフィルター」には、「C-PLフィルター」と「PLフィルター」の2種類があります。

一般的に、デジタルカメラ用としては、“C”が付く、「C-PLフィルター」が推奨されています。


一眼レフの場合、カメラの構造上「AF(オートフォーカス)」に問題が発生する可能性があるなど、「C-PLフィルター」でなくてはならないようですが、ミラーレスの場合、より安価な「PLフィルター」でも問題ないという意見もあります。


photo-zemiとしては、比較実証実験を行っていないのと、カメラとフィルターの構造自体に関する知識が乏しいため、一般的に推奨されている「C-PLフィルター」をおすすめする立場をとっています。


また、この先、フィルターの名称は“C”を省略して「PLフィルター」としますが、誤解のないようお願いいたします。


では、本論です。


まず、「PLフィルター」でできること、というか、基本的な用途から。

一般的には、風景写真を撮るときに、主に2つの目的で活用されています。

ひとつめは、“反射(写り込み)の除去(または弱める)”という用途です。

上の写真は、見てのとおり、池を撮影したものです。

そして、この写真は、「PLフィルター」を使って撮影しています。

では、「PLフィルター」を使わずに撮影するとどうなるでしょう。

このように、水の中は写すことができません。

反射で光ってしまって、岩もよくわかりません。

写真は、見えているものが写るのですから、本来はこれが当たり前です。


でも、「PLフィルター」を使って撮ると。

反射や写り込みを抑えて、水の中まで写せるのです。(見た目よりも、反射や写り込みを、やや強めにすることも可能です。)


その仕組みはともかくとして、「PLフィルター」を使うと、水面の反射を除去して水の中まで写せるのです。

一般的な使い方を、もうひとつ。

青空の写り方を比べてみてください。

「PLフィルター」を使った場合と、使わない場合とでは、空の“青”の濃さが違っています。

「PLフィルター」は、その効果を“弱~強”という感じで、調整することもできます。

空の青さや、植物の緑、紅葉、などなど、被写体をしっかりと色濃く撮影したいときにも多用されているフィルターなのです。


水面の反射や写り込みを軽減して水の中まで写せたり、被写体を色濃く写せたりと、風景写真を撮る方にとっては、とても便利なアイテムとなっているのです。


ここで、「PLフィルター」の構造と、使い方について、基本的なことだけ説明しておきます。

まず、構造ですが、通常のフィルターと違って、2段構造になっています。

片側をレンズの先端にねじ込んで固定した状態で、前面(被写体側)だけ、回転するように作られているのです。

前面(被写体側)を回していくと、その位置によって、反射や写り込み除去の効果が強くなったり弱くなったりするので、カメラの液晶画面やファインダー内の画像を見ながら、好みの効果になるように調整して使います。


また、効果を高めるためには、ちょっとしたポイントもあります。


水面などへの反射や写り込みを抑えたい場合は、反射面または写り込み面に対して、30~40度くらいの角度で撮影すると、最も高い効果が得られます。

角度が浅くなる、あるいは、深くなるほどに、効果が得られなくなっていきます。

反射面や写り込み面に対して、正面から撮影する場合は、まったく効果がありません。

30~40度くらいの角度というのを意識して使うことが必要になります。


空の色などを濃く写したい場合は、太陽の位置を確認して、カメラを向ける方向(角度)を考える必要があります。


逆光では、効果が得られません。

太陽が見えない、曇りの日も、ほとんど効果は得られません。

太陽の位置に対して、90度になるようにカメラを向けたときが、最も効果が高められます。

と、基本的な使われ方と、使い方はこれくらいにして、「PLフィルター」の、photo-zemi(フォトゼミ)的、使いみちとまいりましょう。


ふたつありますが、ひとつめはこれです。

わかりやすいようにと思い、口紅を使っていますが、アクセサリーの撮影では定番のひとつ、アクリル板を使った撮影です。


普通に撮ると。

アクリル板に、商品が写り込みます。


この写り込みが効果的な場合はそれでいいのですが、写り込みをなくしたい、あるいは、弱めたい場合は、「PLフィルター」の出番です。

「PLフィルター」を使えば、ご覧のとおり、アクリル板への写り込みをなくすことができ、効果の強弱も調整できます。

良い悪いではなく、希望する結果、というのが判断基準となりますが、「PLフィルター」があれば、アクリル板などへの、商品や照明の写り込みを調整することができるのです。

時計のガラス面、CDや額の撮影などにも利用できそうです。


ただ、原理まではわかりませんが、金属面や鏡面の反射や写り込みには、ほとんど効果が得られないようです。


ここで、ちょっとだけ宣伝をさせてください。


上の口紅の写真は、「レフ板ホルダー」「一脚型スタンド」を使った撮影台で撮影したものです。

どんな状況かご覧ください。

おわかりいただけますでしょうか?

机の上を片付けることなく、その上に、撮影台を作っているんです!

「レフ板ホルダー」と「一脚型スタンド」は、photo-zemi的最強の組み合わせです。


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>>「一脚型スタンド」の詳細ページはコチラ


と、ちょっとだけ、宣伝させていただきました。


さて、ふたつめの使いみちは、ショウケースなどの写り込みをなくしたい場合です。


「商品が、ショウケースの中に展示されている状況を撮影したいけど、周りのものが写り込んでしまって、商品が見えづらくなってしまう」


こんな経験をお持ちの方、意外といらっしゃると思います。

実際に、商品写真撮影セミナーでも、よく聞かれることです。

これも、「PLフィルター」を使えば、解決もしくは改善できるはずです。

上の写真は、自動販売機を撮影したものですが、どちらが「PLフィルター」を使って撮影した写真か、すぐにわかりますね。これほどまでに、写り込みが改善するのです。


これなら、ショウケースの中の商品を撮影する場合にも、活かせるはずです。

もちろん、ショウケースの形状によっては、写り込みを完全に除去することはできないかもしれませんが、相当改善されることは期待できます。


商品だけでなく、外から、店舗の中を撮影するときにも、ドアや窓の写り込みを無くすのに使えますね。


ただし、撮影する角度は限定されてしまいます。写り込み面に対して、30~40度くらいからです。角度が浅くなるほど、あるいは、深くなるほどに、「PLフィルター」の効果が得られなくなります。


風景写真を撮る方は、当たり前のように使っている、前回の記事「NDフィルター」と、今回の「PLフィルター」。


どちらも、商品写真撮影では、“必須”と言うほどのことはないかもしれませんが、知っていると、いざというときに役に立つはずです。


■■■ちなみに■■■

まさかと思ったのですが、コンパクトタイプのデジタルカメラに着けられる「PLフィルター」もありました。

装着方法は、まずコンパクトタイプデジカメのレンズの外側に、リング状の磁石を貼り付けます。

磁石の磁力を利用して、「PLフィルター」が取り付けられるのです。

値段は、5000円です。(2020年3月現在)

※コンパクトタイプのレンズ部分の形状等によっては、取り付けられないこともあるようなので、もしご購入される場合は、しっかりとご確認ください。


「C-PLフィルター」

※価格は、2,000円程度から数千円(あるいはそれ以上)とありますが、価格差が大きいのが「C-PLフィルター」の特徴です。価格の違いについて、多種多様な意見があるようですが、フィルターそのものの情報ではなく、使い道としての情報発信となりますので、「C-PLフィルター」そのものについての詳しい情報は、申し訳ありませんが、WEB検索をご利用ください。たくさん情報があります。行き届かずにすみません。

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